第110章 胸をときめかせる

彼にそう言われて、ようやくあの二人の御曹司は夢から醒めたような顔になった。

胸の奥を支配しているのは、ただただ衝撃。

――狂ってる。ほんとに狂ってる!

だって、相手は彰人様だぞ!!!

横尾孝人には及ばないとしても、行く先々で誰も逆らえない存在。そんな男が、いまこの場で――平手打ちを食らい、踏みつけられていた。

……幻覚でも見てるのか?

いったい、あの男は何者だ。

どうして、あそこまでためらいなくやれる?

小高文也も同じく、言葉を失っていた。

彼が抱える不安は、二人よりずっと現実的だ。

彰人様がここで殴られたとなれば、下手をすれば小高家まで巻き込まれる。

文也は指先を震わ...

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